書くということについての 学習支援

もう、ずいぶん昔のことになりますが、低学年で、描くことが特に苦手な児童Aさんがいました。絵にならない。字を書くことも苦手である、この児童は形を捉えるのが苦手でした。自由な積み木遊びでも積むことが難しく、横に並べるばかり。そこで、半年ほど宿題に白いノートに1ページずつ絵を描くことを出しました。保護者の方の理解と協力もあり、その後、形をとるのが徐々に上手になり、高学年では、漢字が得意になりました。それが自信となり、楽しく前向きに学校生活を送っていたことを、思い出します。

書くということに悩みを持っている児童は多いです。

「手先が器用でないため、書けない。」そういう場合も多いでしょう。いえ、手の巧緻性のみならず、肩や、手首や、肘の安定にも注意がいります。肩や肘などを動かす粗大運動を考える必要がある場合もあるでしょう。その他、形を見分ける力のことも考えないといけません。

Bさん、算数は指導すると、興味を持って、一歩一歩、理解していきますが、書くことは、まだまだです。試しに1枚、Bさん向けに作った宿題プリントをやってみると、1もなかなか上手に書けません。それもそのはず、見ると、ペンの持ち方がおかしい。手が机についていない。肘まで浮いている。まずは、書きやすい良い姿勢で字を書くことが必要だと考えました。それと同時に、別途、書くことになじむことが重要でしょう。いっぱい描くと言う経験です。休憩時間やあるいは、宿題にクロッキー帳など、たくさん描ける、なかなかページがなくならない自由帳を用意し、思う存分、気楽に好きなように描いてみて、描く事になれることが必要です。少し描いて次のページに行ってしまうかもしれませんが、その場合は、「まだここに書けるよ」と隙間に描くことを勧めてみてください。紙が線で埋まっていくことを見ることも形をつかむ上で効果があると考えています。重なって描かれ、たまたま出来た形に注目することも形をつかむ上で効果があると考えます。この活動は、筆圧にもいい影響を及ぼします。

話はそれましたが、この児童は、日々、書く学習を丁寧に進めてられていて、本当に少しずつですが、上手に書けるようになってきていることが分かりました。なかなか大きく変化は見えなくても、日々の丁寧な取り組みが大切です。時間とともに、あれ、こんなに上手になっていると思える日が来ます。

かずの学習はどんどん進んで行きます。「こんな場面で書けるといいね」というイメージを本人が持つことができるために、かずの授業で取り組んでいる内容のプリントに取り組む時間をもってみました。書くということについての意欲という意味で価値のある一つの方法だと考えています。たまには、教師とともに、プリントに取り組み、問題に言葉で答えてもらい、その後、児童が答えた答えをマーカーで教師が書いて、それをなぞって書けるようにして書くなどの方法でプリントをする。そうすると、楽しみながら、短時間よい姿勢、よい鉛筆の持ち方を意識してなぞり書き等で書く練習にもなります。

字を書くことの学習支援は、

その児童によって、異なりますが、まずは、「聞く」「話す」「読む」の理解のレベルを把握して、行う必要があります。読めるのか、聞いてカードがとれるのかを確認する必要があるでしょう。その上で、プリント学習では、具体的には、・点つなぎ、・線つなぎ・形のなぞり・迷路の線ひき・枠内の文字・文字のなぞり書きなどを進めて行きます。また、別途、手指の巧緻性の向上を意識して、日々のお手伝いを行う、あるいは、折紙、粘土あそび、シール貼りなどの活動をすることも大事だと考えます。そして、身体を大きく動かす粗大運動、積み木や、パズルなど形を意識する遊びなど、それぞれの児童に必要な活動を見極めて、幅広く考えて取り組む必要があります。 書くことに悩んでいる児童が、着実に淡々と上手に書けるようになって行けることを願っています。